2025/08/02 13:02

コロンビア ウィラ エルディビソ農園
ティピカ・メホラード サーマルショック・ウォッシュ

【品種とテロワールに、精密に設計された精製技術が融合
“プロセスで香味をデザインする”新時代のスペシャルティ】

■ 珍種 × 精密発酵──品種・環境・技術の結晶
 本ロットに使用されているのは、「ティピカ・メホラード(Typica Mejorado)」という非常に希少な品種。
 エクアドルのラ・パルマ・エル・トゥカン農園が起源とされ、ティピカにゲイシャのような芳香性を持たせた交配種と言われています。

 生産地は、コロンビア南部ウィラ県の「エルディビソ農園」。この地域は標高1,700m前後の高地に位置し、火山性の肥沃な土壌、昼夜の寒暖差、霧がちな気候という、コーヒーの香味形成にとって理想的なテロワールを備えています。


■ 緻密に設計された精製プロセス
 この豆が際立っている理由の一つが、発酵や乾燥といった精製工程における徹底した設計にあります。
 本ロットでは、以下のような複雑なステップを経て、風味をコントロールしています:

1. 選別:糖度23°以上の完熟チェリーを選別

2. 好気性発酵:オープン容器内で48時間置き、自然の酵母を活かす

3. 嫌気性発酵:低温密閉下で12時間、発酵を精密に管理

4. 果汁(モスト)の再利用:一度搾り出したモストを再投入することで、風味の層を追加

5. 浸漬式発酵:温度・時間を管理した液中発酵で味のバランスを整える

6. サーマルショック:発酵の最終段階で65〜70℃の熱湯をかけて発酵を止め、香味を固定

7. 低温乾燥(18〜24日):ゆっくりと水分を抜き、繊細な酸味や香りを保つ

 これらの工程により、果実のようなジューシーさと、花のような繊細な香りを両立した味わいが生まれます。


■ 「作る香味」から「設計する香味」へ
 このような多段階プロセスは、コーヒーの世界において “マイクロバイオームの活用” とも呼ばれ、従来の自然任せの発酵ではなく、生物学的・化学的な観点から風味を“設計”するアプローチです。

 単なる高級豆というだけでなく、「品種 × 環境 × 精製技術」によって創り出された、新時代のスペシャルティコーヒーといえます。


■ 高品質ゆえの少量ロット
 本ロットは極めて小規模に作られており、精製も手間と時間のかかる方式を採用しているため、大量生産には向きません。国内流通量もごくわずかで、一期一会の出会いとなるかもしれません。

香り・味わいの詳細については商品ページをご覧ください。